2024年度診療報酬改定の基本方針を決定――厚労省
厚生労働省(以下、厚労省)の社会保障審議会医療部会及び医療保険部会は12月11日、「2024年度診療報酬改定の基本方針」(以下、2024年度基本方針)を決定、公表した。
2024年度基本方針は、診療報酬改定に当たっての基本認識を示したうえで、改定の基本的視点と具体的方向性をまとめている。前回の「2022年度診療報酬改定の基本方針」と比べて特徴的なのは、2022年度以降の経済・社会の変化を反映し、「物価高騰」「賃金上昇」という用語が使われている点だ。
改定に当たっての基本認識では4つの柱が立てられているが、その1番目の柱では、現下の食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰、30年ぶりの高水準となる賃上げの状況などといった経済社会情勢は医療分野でのサービス提供や人材確保にも大きな影響を与えていること、患者が必要とする医療が受けられるよう、機動的な対応が必要となっていることが指摘されている。
人材確保・働き方改革等の推進が重点課題に
また、それら4つの柱を踏まえ、
(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進
(2)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
(3)安心・安全で質の高い医療の推進
(4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
の4つの基本的視点が設けられ、2024年4月から医師の働き方改革が本格的に始まることも考慮して、(1)が重点課題とされた。
それぞれの基本的視点では、具体的方向性の例も挙げられている。重点課題である(1)では、看護職員の処遇改善に係る取組、政府が11月2日に閣議決定した「デフレ完全脱却のための総合経済対策」も踏まえつつ、医療従事者の賃上げに向けた取組を推進する、としている。また、働き方改革を念頭に、情報通信技術(ICT)の利活用を推進し、業務を効率化する。
そのICTは、(2)に位置付けられた医療DXとも密接な関係がある。具体的な方向性としては、マイナ保険証を活用した質が高く効率的な医療の提供、電子処方箋の普及、電子カルテ情報をはじめとした医療情報の標準化、ICTの活用など通じて、医療連携を推進する。
なお、2024年度基本方針を受けて、中央社会保険医療協議会(中医協)では今後、個々の診療報酬について具体的な議論をしていく。(HealthDay News 2023年12月22日)
参考文献
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000187434_00004.html
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