がん疼痛への専門的な緩和ケア「拠点病院の体制強化を」――中医協
厚生労働省(以下、厚労省)は、11月24日に開催した中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、緩和的放射線治療や神経ブロックの実施が多いがん診療連携拠点病院の評価について検討を求めた。現段階では限定的に実施されている緩和的放射線治療や神経ブロックを必要に応じて実施したいとの考えによるものだ。
厚労省が示した調査報告によると、がん患者に対する緩和ケアチームへの依頼内容(小児がんを除く)で最も多いのが「疼痛」で、62.8%であった(日本緩和医療学会2022年度緩和ケアチーム登録結果報告)。
また、がん疼痛へのアプローチは、薬物療法だけでなく、放射線治療や神経ブロック等が有効な場合がある。がん診療連携拠点病院では、年間50件以上の緩和的放射線治療を実施している施設は70.9%、膵がんへの腹腔神経叢ブロックを実施している施設は50.8%であった(2021年度の厚生労働科学研究調査)。
一方で、同調査によると、がん診療連携拠点病院以外の病院や在宅療養支援診療所では、緩和的放射線治療について、「実施や利用ができない/していない」との回答が、病院で54.9%、診療所で63.8%であり、膵がんへの腹腔神経叢ブロックでは、それぞれ88.8%(病院)、80.6%(診療所)に上った。
こうした実態を踏まえ、厚労省が、がん診療連携拠点病院の評価について意見を求めたところ、診療側・支払側の委員双方から「診療報酬での評価の前に、まずはがん診療連携拠点病院での緩和的放射線治療や神経ブロック実施体制を強化すべきではないか」といった意見が出された。(HealthDay News 2023年12月6日)
参考文献
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00226.html
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