小児への点滴中に血管外漏出の医療事故の報告多数、注意を
日本医療機能評価機構(以下、評価機構)は10月16日、小児への輸液投与中に血管外漏出に気付くのが遅れて治療を要した医療事故の事例を「医療安全情報No.203」として公表した。小児の輸液の血管外漏出事例の公表は、2007年6月に続き2度目。その後、2018年1月1日~2023年8月31日の間に52件の事例が報告されているため、再度の注意喚起となる。
具体的事例の1つは次のケース。9カ月の患児に、手背の末梢静脈ラインから輸液ポンプを使用して輸液を30mL/hで投与していた。上肢はシーネで固定、カバーで保護し、朝6時まで約1時間ごとに血管外漏出やカバーのずれがないか観察。上肢の浮腫や硬結はなかった。その後、患児は泣く様子がなく、看護師は輸液が血管外に漏出した場合は輸液ポンプのアラームが鳴ると思っていたことから、観察していなかった。約4時間後、末梢静脈ラインを抜去するためカバーを外すと指が紫色になっており、皮膚壊死を来していた。
こうした事例を受け、評価機構は院内での周知事項として▽小児は、血管外漏出すると皮下組織に広がり、影響が大きくなりやすいこと▽輸液ポンプ等のアラームはラインの閉塞を検出するもので、血管外漏出を検出するものではないこと▽末梢静脈ラインの固定やカバーを工夫して、刺入部およびその周辺の観察を行う――の3点を挙げ、対応を呼びかけている。(HealthDay News 2023年10月25日)
参考文献
https://jcqhc.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/anzen_20231016.pdf
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