10月から難病・小児慢性特定疾病の医療費助成が遡及可能に
指定難病及び小児慢性特定疾病(以下、小慢)に対する医療費助成について、医療費助成の開始を「申請時点」から「重症度分類を満たしていることを診断した日(以下、重症化時点)」まで遡及可能になる。厚生労働省は7月10日、厚生科学審議会・疾病対策部会「難病対策委員会」と社会保障審議会・小児慢性特定疾病対策部会「小児慢性特定疾病対策委員会」の合同委員会(以下、合同委員会)を開催し、難病・小慢対策にかかわる基本方針の見直しに着手した。
現在は、医療費助成の開始は申請日となっている。しかし、診断されてから申請にいたるまでの診断書作成など、時間がかかることが患者の負担として問題視されていた。そこで、「重症化時点」を医療費助成の開始とし、申請日からの遡りの期間は原則1カ月、ただし、指定医が診断書の作成に期間を要した場合や入院その他緊急の治療が必要だった場合などやむを得ない理由があるときは、最長3カ月前まで遡って申請可能となった。10月1日から施行される。
やむを得ない理由の例は、次の通り。1)臨床調査個人票の受領に時間を要したため、2)症状の悪化等により、申請書類の準備や提出に時間を要したため、3)大規模災害に被災したこと等により、申請書類の提出に時間を要したため、4)その他(自由記載)。
登録者証の発行やデータベースの法定化なども見直しに着手
また、合同委員会は、1)福祉、就労等の各種支援を円滑に利用できるようにするため、マイナンバーと連携した「登録者証」の発行、2)難病・小慢データベースの法定化についても、見直しに着手した。どちらも2024年度4月1日施行。これまで難病・小慢データベースは、予算事業で構築・運用されてきたが、法定化することで、国による情報収集、都道府県等の国への情報提供義務、安全管理措置、第三者提供ルール等を規定し、他の公的データベースとの連結解析が可能となる。
難病・小慢データベースのシステムリリースのスケジュールは、開発フェーズを1次開発、2次開発に分けて改修作業が進行中だ。1次開発は、主に小慢データベースに関する機能で、2023年10月頭のリリースを予定。2次開発は、主に難病データベースに関する機能で、2024年3月末のリリース予定となっている。(HealthDay News 2023年8月2日)
参考文献
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34035.html
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