ルセンティス
EVERESTⅡ試験 無作為化比較試験(第Ⅳ相国際共同試験)
有効性および安全性
Koh A, et al. JAMA Ophthalmol 2017; 135: 1206-1213
[利益相反:本研究はNovartisの資金により行われた。本論文の著者のうち2名はNovartisの社員である。著者にNovartisより講演料、コンサルタント料などを受領しているものが含まれる。]
12か月後におけるBCVAのベースラインからの変化量(主要評価項目)
12か月後のBCVAのベースラインからの変化量において、ラニビズマブ単独群に比べてラニビズマブ+vPDT併用群の優越性(非劣勢)が検証されました。
12か月後までのBCVAにおけるベースラインからの平均変化(副次評価項目)
12か月後のBCVAのベースラインからの変化量において、ラニビズマブ単独群に比べてラニビズマブ+vPDT併用群の非劣性ならびに優越性が示されました。
vPDT:ベルテポルフィンを用いた光線力学的治療 BCVA:最高矯正視力
FAS:full analysis set 、LOCF:last observation carried forward
12か月後におけるポリープの完全退縮(主要評価項目)
ラニビズマブ+vPDT群とラニビズマブ単独群では12か月後におけるポリープの完全退縮において有意差が認められました。
vPDT:ベルテポルフィンを用いた光線力学的治療
FAS:full analysis set 、LOCF:last observation carried forward
ラニビズマブの総投与回数と頻度(副次評価項目)
12か月後までの総投与回数(中央値)は、ラニビズマブ単独群で7.0回、ラニビズマブ+vPDT併用群で4.0回でした。
安全性解析対象集団
*nは少なくとも1回のラニビズマブ投与を受けた症例数
**試験対象眼でのラニビズマブの総投与回数をまとめた。12か月後までのラニビズマブ投与回数における群間差は、治療群及び暴露期間で調整した負の2項回帰モデルを用いて比較し、投与回数率の差、95%信頼区間及び両側p値を算出した。
vPDT:ベルテポルフィンを用いた光線力学的治療
vPDT/シャムPDTの総施行回数と頻度(副次評価項目)
12か月後におけるPDTの総施行回数の平均値は、ラニビズマブ+vPDT併用群で1.5回、ラニビズマブ群で2.3回でした。
12か月後までの眼および全身の有害事象(副次評価項目)
12か月後までの眼および全身の重篤な有害事象(副次評価項目)
眼の有害事象は、ラニビズマブ+vPDT併用群172例*中46例(26.7%)、ラニビズマブ単独群149例*中38例(25.5%)に認められ、主な有害事象はラニビズマブ+vPDT併用群では、眼圧上昇9例(5.2%)、網膜出血6例(3.5%)、結膜出血、眼乾燥4例(2.3%)、眼精疲労、結膜炎、黄斑線維各3例(1.7%)で、ラニビズマブ単独群では、眼圧上昇7例(4.7%)、結膜炎5例(3.4%)、硝子体出血4例(2.7%)、アレルギー性結膜炎、点状角膜炎各3例(2.0%)でした。
重篤な眼の有害事象として、硝子体出血がラニビズマブ+vPDT併用群で172例中1例(0.6%)、ラニビズマブ単独群で149例中3例(2.0%)に認められました。
眼以外の有害事象はラニビズマブ+vPDT併用群172例*中73例(42.4%)、ラニビズマブ単独群149例*中56例(37.6%)に認められ、主な有害事象はラニビズマブ+vPDT併用群では、鼻咽頭炎17例(9.9%)、上気道感染症10例(5.8%)、湿疹、胃腸炎各4例(2.3%)、不整脈、良性前立腺過形成、咳、下痢、不眠、咽頭炎各3例(1.7%)で、ラニビズマブ単独群では、鼻咽頭炎7例(4.7%)、高血圧6例(4.0%)、インフルエンザ、変形性関節症各4例(2.7%)、咳、めまい、変形性脊椎症各3例(2.0%)でした。
重篤な眼以外の有害事象は、ラニビズマブ+vPDT併用群で172例中13例(7.6%)、ラニビズマブ単独群で149例中11例(7.4%)に認められました。
vPDT:ベルテポルフィンを用いた光線力学的治療
*安全性解析対象集団
1鼠径ヘルニア2例、喘息、急性心筋梗塞、大動脈解離、慢性閉塞性肺疾患、出血性脳卒中、熱疲労、帯状疱疹、下肢骨折、失神前状態、前立腺がん、脊柱管狭窄症、熱傷各1例
2肺炎2例、慢性疾患に伴う貧血、大腸炎、塞栓性脳卒中、転倒、大腿骨骨折、喀血、下気道感染症、肺腺がん、骨転移、中枢神経系への転移、肝臓への転移、リンパ節への転移、心筋虚血、変形性関節症、失神、創傷感染各1例
3慢性閉塞性肺疾患
投与中止例の有害事象名は原著論文に記載なし。
EVERESTⅡ試験のまとめ
- ラニビズマブ+vPDT併用治療群(以下、併用群)は、ラニビズマブ単独治療群(以下、単独群)に比べて、主要評価項目である12か月後のBCVAの平均変化量およびポリープの完全退縮において優越性を示した。(BCVA:p=0.013, BCVAを共変量としたANCOVA、ポリープ完全退縮率:p<0.001, Fisher検定)
- 12か月後までのラニビズマブ総投与回数(中央値)は、ラニビズマブ単独群で7.0回、ラニビズマブ+vPDT併用群で4.0回であった。
- 12か月後におけるPDTの総施行回数の平均値は、ラニビズマブ+vPDT併用群で1.5回、ラニビズマブ群で2.3回であった。
- 眼の有害事象の発現率は併用群で26.7% (46/172例)、単独群で25.5%(38/149例)であり、眼以外の有害事象は併用群で42.4% (73/172例)、単独群で37.6% (56/149例)であった。また、重篤な眼の有害事象(硝子体出血)の発現率は併用群で0.6% (1/172例)、単独群で2.0% (3/149例)であった。
- 以上より、PCVに対するラニビズマブと初回PDTとの併用治療は、ラニビズマブ単独治療に比べて良好な視力改善とポリープ完全退縮を示し、かつ、少ない注射回数で実現できることが示唆された。
vPDT:ベルテポルフィンを用いた光線力学的治療
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