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有効性と安全性(小児)

「禁忌を含む使用上の注意」等はこちらをご参照ください。

※ ゾレア皮下注シリンジは、ゾレア皮下注用(凍結乾燥製剤)と薬物動態を比較した「生物学的同等性試験」の成績をもとに承認されたため、気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)及び特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)の患者を対象とした国内臨床試験は実施されておりません。

小児に対する臨床効果

2.海外第相小児検証試験(IA05試験)(海外データ)1)2)

1) 社内資料:喘息患者を対象とした海外小児検証試験 IA05 試験 〔XOLU00015〕 (承認時評価資料)

2) Lanier, B. et al.: J. Allergy Clin. Immunol. 124(6), 1210, 2009 〔XOLM00980〕
本研究はノバルティスが実施しました。試験デザイン、データ収集、データ解析、中断、レポートの執筆の役割を担いました。

本試験には重症度の低い症例が含まれていたことから、承認申請のため、国内の適応患者集団に合致する部分集団を設定し、事後解析を行いました。
また、本試験で用量設定に用いた投与量換算表は現在承認されている投与量換算表と異なるため、現在の投与用量とは異なる用量での成績が含まれます。事後解析を含め、承認時に評価された資料であるため紹介します。

(1)試験デザイン

目的

既存治療によってもコントロール不十分な中等症から重症のアレルギー性の小児喘息患者を対象として、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体であるゾレアの有効性及び安全性を評価する。

試験方法

多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験

主要評価項目

ステロイド固定期の喘息増悪発現頻度

副次評価項目

Nocturnal asthma symptom score の変化量、喘息増悪発現頻度(52週間の全治療期)など

探索的評価項目

喘息増悪発現までの期間、有効性の総合評価など

対象

吸入ステロイド薬(≧200μg/日 FP*1又は相当量)単独又は他剤との併用治療でも喘息コントロールが不十分な中等症又は重症持続型小児アレルギー性喘息患者(6~11歳)

*1 フルチカゾンプロピオン酸エステル(FP)の小児における本邦承認用量は200μg/日までである。

投与方法

ゾレア群は、オマリズマブ(遺伝子組換え)として1回75~375mgを4又は2週間隔で52週にわたり皮下投与した。1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前の血清中総IgE濃度及び体重に基づき、投与量換算表(なお、現在承認されている投与量換算表とは異なる)により設定した。治療期は、吸入ステロイド薬の用量を一定にした24週間のステロイド固定期と、用量調整を可とした28週間のステロイド調整期から構成された。

解析計画

本試験は国内第相試験(1301試験)よりも重症度の低い患者が含まれていたことから、承認申請のため、国内の適応患者集団に合致する部分集団(JAT集団)を設定し、事後解析を行った。主要評価項目である喘息増悪の発現頻度は、リスク期間(被験者ごとの試験期間)で調整後の増悪発現回数とし、一般化推定方程式を用いたポアソン回帰分析により群間比較した。JAT 集団における回帰モデルでは、投与群、投与間隔(2週間隔又は4週間隔)、喘息増悪歴を因子とし、投与群間の増悪発現頻度の比の推定値及び95%CIを算出した。mITT集団を対象とした回帰モデルには、さらに国を因子として追加した。試験中止した場合は、喘息増悪の発現回数を補完した。試験中止前7日間に喘息増悪が発現しなかった場合は、増悪数を1 回加算した。なお、mITT集団での解析については、階層型Hochberg法で多重性を調整した。JAT集団での解析については、試験終了後に設定した追加解析であるため、多重性は考慮しなかった。

Full intent-to-treat(ITT)集団:ランダム化されたすべての被験者(627例)

Modified ITT(mITT)集団:Full ITT集団のうち、GCP不遵守のため有効性の評価に利用できなかった2施設の被験者を除外した集団(576例)

安全性解析対象集団:いずれかの治験薬を投与され、投与後の安全性を少なくとも1回評価された被験者(628例)

JAT集団:mITT集団のうち、ICS(>200μg/dayのFP又は相当量)と長時間作用性β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン薬、クロモグリク酸ナトリウム、経口ステロイドの中から2剤以上の喘息治療薬を使用している被験者(159例)

投与スケジュール
投与スケジュール

4. 効能又は効果(抜粋)

〇 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)

5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)

<気管支喘息>

5.1 高用量の吸入ステロイド薬及び複数の喘息治療薬を併用しても症状が安定せず、通年性吸入抗原に対して陽性を示し、体重及び初回投与前血清中総IgE濃度が投与量換算表で定義される基準を満たす場合に本剤を追加して投与すること。症状が安定しないとは、下記の症状のいずれかが改善しないことを示す。

小児の場合

  • 毎日喘息症状が観察される
  • 週1回以上夜間症状が観察される
  • 週1回以上日常生活が障害される

7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)

<気管支喘息>

7.5 用法及び用量どおり、16 週間使用しても効果が認められない場合には、漫然と投与を続けないよう注意すること。

(2)mITT集団における喘息増悪*2発現頻度[ 検証的な解析結果 ]

ステロイド固定期におけるゾレア群の喘息増悪発現頻度は0.45回であり、プラセボ群の0.64回に比べて有意に減少した(p=0.007、ポアソン回帰分析)。

喘息増悪発現頻度

ポアソン回帰分析(プラセボ群との比較)

*2 本試験における喘息増悪の判定基準:吸入ステロイド薬の維持用量からの倍増を3日間以上必要とする、又は全身性ステロイド薬による治療を3日間以上必要とする喘息症状の悪化

(3)部分集団(JAT集団)における喘息増悪*3発現頻度(プラセボ群との比較)[ 事後解析 ]

ステロイド固定期におけるゾレア群の喘息増悪発現頻度は0.73回であり、プラセボ群の1.15回に比べて有意に減少した(p=0.034、ポアソン回帰分析)。

喘息増悪発現頻度

ポアソン回帰分析(プラセボ群との比較)

*3 本試験における喘息増悪の判定基準:吸入ステロイド薬の維持用量からの倍増を3日間以上必要とする、又は全身性ステロイド薬による治療を3日間以上必要とする喘息症状の悪化

(4)安全性

本試験の安全性解析対象集団における副作用は、ゾレア群6.1%(7/114例)、プラセボ群4.0%(2/50例)に認められた。ゾレア群でみられた主なものは、頭痛3 例(2.6%)、注射部位そう痒感、注射部位腫脹、トランスアミナーゼ上昇、チック各1 例(0.9%)であった。プラセボ群でみられた副作用は、頭痛、蕁麻疹各1例(2.0%)であった。重篤な副作用は、ゾレア群で1例(0.9%)にチックが認められた。また、有害事象による投与中止はゾレア群で頭痛による1 例(0.9%)であり、プラセボ群では報告されなかった。本試験において死亡例は報告されなかった。