「禁忌を含む注意事項等情報」等はこちらをご参照ください。
ORION-5(海外第Ⅲ相試験、海外データ):
HoFH患者にレクビオを投与したときの有効性及び安全性を評価する試験
併用されているスタチンは、国内承認範囲外の用法及び用量が含まれます。併用薬についての用法及び用量等詳細は、各製品の電子添文をご確認ください。
Day510のLDL-Cのベースラインからの変化率
[主要評価項目(検証的な解析結果)]
主要評価項目(検証的な解析結果)
Day150のLDL-Cのベースラインからの変化率(ITT集団)
欠測値は、多重代入法(multiple imputation washout model)により補完した。補完後のデータセットに対して、二重盲検期間の投与群を固定効果、ベースラインのLDL-C値を共変量として、投与群間の不等分散を仮定した共分散分析(ANCOVA)を適用し、Rubinの方法により併合した。
社内資料:海外第Ⅲ相試験(ORION-5)(CTD2.7.6-4.1.6)[20230068][承認時評価資料]
【補足情報】HoFH患者における有効性について
ORION-5試験において、主要評価項目であるDay150のLDL-Cのべースラインからの変化率について、プラセボ群に対するレクビオ群の優越性が示されなかった理由として、以下2点が交絡因子となった可能性があることを考慮し、事後解析を行い、評価資料の一部として提出しました。
(1) | LDL-C測定値がLDLアフェレシスの影響を受ける可能性がある、LDLアフェレシス実施後2週間以内の患者の組み入れが許容されていた |
(2) | レクビオの作用機序を考慮すると有効性が期待できないと考えられる、肝細胞表面にLDL受容体を発現しないnull/null型のHoFH患者の組み入れが許容されていた |
上記の可能性を踏まえ、LDLアフェレシスの実施有無別及びLDL受容体遺伝子型別の部分集団におけるDay150のLDL-Cのベースラインからの変化率の事後解析を行った結果は下表のとおりでした。
Day150のLDL-Cのベースラインからの変化率(事後解析・部分集団解析)
※1 | すべての患者で主要評価項目の評価時点であるDay150まで、LDL-Cの測定時期はLDLアフェレシス実施後と規定されていた。 LDLアフェレシス実施後2週間以内は、LDL-C測定値がLDLアフェレシスによる影響を受けるとされており(動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版)、LDLアフェレシス実施有の部分集団では、プラセボ群の57.1%(4/7例)及びレクビオ群の76.9%(10/13例)で、LDLアフェレシス実施後2週間以内にLDL-Cのベースライン値が測定されていた。 |
※2 | 肝細胞表面にLDL受容体を発現しない家族性高コレステロール血症ホモ接合体患者 |
※3 | 最小二乗平均値[95%CI](例数) |
※4 | 欠測値は、多重代入法(multiple imputation washout model)により補完した。補完後のデータセットに対して、二重盲検期間の投与群を固定効果、ベースラインのLDL-C値を共変量として、投与群間の不等分散を仮定した共分散分析(ANCOVA)を適用し、Rubinの方法により併合した。 |
※5 | 最小二乗平均値[95%CI] |
社内資料:海外第Ⅲ相試験(ORION-5)(CTD2.7.6-4.1.6)[20230068][承認時評価資料]
【補足情報】HoFH患者へのレクビオ使用について
以上の結果に加え、症例ごとのLDL-Cの推移等※を踏まえるとLDL受容体の遺伝子型が非null/null型のHoFH患者に対しては治療効果が認められる可能性があると評価されました。
また、HoFHは重篤な希少疾患であり、その治療選択肢は限られていることを踏まえると、本剤を医療現場に提供する意義はある、としてHoFH患者への使用が認められました。
※ 症例ごとのLDL-Cの推移等詳細は『レクビオ®を適正にご使用いただくために』をご参照ください。
LDLアフェレシスを実施中の患者においては、LDLアフェレシスの実施時期を考慮してレクビオの効果を判定してください。
LDLアフェレシス実施後2週間以内は、LDL-C測定値がLDLアフェレシスによる影響を受けるとされています(動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版)。
社内資料:海外第Ⅲ相試験(ORION-5)(CTD2.7.6-4.1.6)[20230068][承認時評価資料]
安全性(SAF)
二重盲検パート
プラセボ群(N=19)及びレクビオ群(N=37)において、それぞれ0例(0.0%)及び2例(5.4%)に認められました。いずれかの群で発現した副作用(基本語別)は、下痢が0例(0.0%)及び2例(5.4%)、発熱が0例(0.0%)及び1例(2.7%)でした。重篤な副作用、投与中止に至った副作用、死亡に至った副作用は両群において認められませんでした。
非盲検パート
プラセボ-レクビオ群(N=19)及びレクビオ-レクビオ群(N=34)において、それぞれ0例(0.0%)及び1例(2.9%)に認められました。いずれかの群で発現した副作用(基本語別)は、注射部位紅斑が0例(0.0%)及び1例(2.9%)でした。重篤な副作用、投与中止に至った副作用、死亡に至った副作用は両群において認められませんでした。
ORION-51)
家族性高コレステロール血症ホモ接合体(HoFH)患者にレクビオを投与したときの有効性及び安全性を評価する試験
1)社内資料:海外第Ⅲ相試験(ORION-5)(CTD2.7.6-4.1.6)[20230068][承認時評価資料]
試験概要
目的
HoFH患者を対象に、レクビオ300mgを皮下投与したときの有効性、安全性、及び忍容性を評価する。
試験デザイン
2パート(二重盲検、非盲検)で構成される、多施設共同、第Ⅲ相、プラセボ対照、二重盲検(二重盲検パートのみ)、ランダム化試験
対象
HoFH患者
症例数
[二重盲検パート]
ランダム化例数:56例(プラセボ群:19例、レクビオ群:37例)
ITT集団※1:56例(プラセボ群:19例、レクビオ群:37例)
安全性解析対象集団(SAF)※2:56例(プラセボ群:19例、レクビオ群:37例)
[非盲検パート]
組み入れ例数:53例(二重盲検パートを完了した被験者)(プラセボ-レクビオ群:19例、レクビオ-レクビオ群:34例)
ITT集団:53例(二重盲検パートを完了した被験者)(プラセボ-レクビオ群:19例、レクビオ-レクビオ群:34例)
安全性解析対象集団(SAF)※2:53例(プラセボ-レクビオ群:19例、レクビオ-レクビオ群:34例)
※1 ランダム化されたすべての被験者。 ※2 治験薬を1回以上投与されたすべての被験者。
主な選択基準
- HoFHと遺伝子診断又は臨床診断[未治療時のLDL-Cが500mg/dL(13mmol/L)を超え、かつ、10歳未満時の黄色腫の発症又は両親ともに家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体であることに基づく]された18歳以上の男女の患者。
- 低脂肪食を安定して摂取している患者。
- スタチンを使用中の患者の場合は、スタチンを最大耐用量で使用していなければならない。最大耐用量とは、忍容できない有害事象が発現することなく、スタチンを定期的に使用できる最大用量と定義する。
- スタチンを使用中でない患者の場合は、2種類以上のスタチンのあらゆる用量に対して不耐であったことが記録されていなければならない。
- 脂質低下剤を使用中の患者の場合は、その用量がスクリーニングの30日以上前から一定であり、試験参加期間中は薬剤変更及び用量変更の予定がない。
- 空腹時LDL-Cが130mg/dL(3.4mmol/L)以上の患者。
- トリグリセリドが400mg/dL(4.5mmol/L)未満の患者。
- 腎透析又は腎移植を現在しておらず、また予定がない患者。
- LDL又は血漿アフェレシス療法を受けたことが記録されている患者の場合は、必要に応じて試験参加中もアフェレシス療法を継続することができる。
主な除外基準
- スクリーニング前5ヵ月以内にMipomersen※3又はロミタピドによる治療を受けた患者。
- スクリーニング前90日以内に抗PCSK9抗体による治療を受けた患者。
※3 国内未承認。
投与方法
本試験は以下の2パートから構成された。
● 二重盲検パート(6ヵ月): | Day1に被験者をプラセボ群又はレクビオ群のいずれかに1:2でランダム化し、プラセボ又はレクビオ300mgをDay1及び90に皮下投与した。 |
● 非盲検パート(18ヵ月): | 二重盲検パートでプラセボ群に割り付けられた被験者はプラセボの投与からレクビオの投与に移行した(プラセボ-レクビオ群)。二重盲検パートでレクビオ群に割り付けられた被験者はレクビオの投与を継続した(レクビオ-レクビオ群)。被験者にレクビオ300mgをDay180(プラセボ-レクビオ群のみ)、270、450、及び630に皮下投与した。 |
主要評価項目(co-primary endpoint)
Day150のLDL-Cのベースラインからの変化率
副次評価項目
【主な副次評価項目】
Day150のLDL-Cのベースラインからの絶対変化量 等
【その他の副次評価項目】
レクビオの安全性及び忍容性 等
事後解析・部分集団解析
LDLアフェレシスの実施有無別及びLDL受容体の遺伝子型別の部分集団におけるDay150のLDL-Cのベースラインからの変化率(主要評価項目の解析集団には、本剤の作用機序を考慮すると有効性が期待できないと考えられる、肝細胞表面にLDL受容体を発現しないnull/null型ホモ接合体の患者及びLDLアフェレシス療法を受けていた患者が含まれていた。これらが交絡因子となった可能性があることを受け、LDLアフェレシスの実施有無別及びLDL受容体遺伝子型別の部分集団におけるDay150のLDL-Cのベースラインからの変化率の事後解析を行い、評価資料の一部として提出した。)
解析計画
主要評価項目及び主な副次評価項目に関する帰無仮説が棄却された場合にのみ、その他の副次評価項目及び探索的評価項目に関する統計学的検定を実施することとした。その他の副次評価項目及び探索的評価項目の多重性の調整は計画しなかった。各評価項目は、α=0.05(両側)を用いて検定した。有効性の主要解析はITT集団を対象として実施した。
【主要評価項目】
帰無仮説を「レクビオ群とプラセボ群のDay150のLDL-Cのベースラインからの変化率の最小二乗平均値の差(レクビオ群-プラセボ群)が0」とした。
主要解析はITT集団を対象とし、共分散分析(ANCOVA)モデルを用いてDay150のLDL-Cのベースラインからの変化率を解析した。
欠測値は、多重代入法(multiple imputation washout model)により補完した。補完後のデータセットに対して、二重盲検期間の投与群を固定効果、ベースラインのLDL-C値を共変量として、投与群間の不等分散を仮定した共分散分析(ANCOVA)を適用し、Rubinの方法により併合した。
【事後解析・部分集団解析】
主要評価項目であるDay150のLDL-Cのべースラインからの変化率について、プラセボ群に対するレクビオ群の優越性が示されなかった理由として、本剤の作用機序を考慮すると有効性が期待できないと考えられる、肝細胞表面にLDL受容体を発現しないnull/null型ホモ接合体の患者及びLDLアフェレシス療法を受けていた患者が含まれていたことが交絡因子となった可能性があることを考慮し、事後解析を行った。部分集団解析は主要評価項目と同じ解析を実施した。
患者背景(ITT集団)
主要評価項目の解析集団には、本剤の作用機序を考慮すると有効性が期待できないと考えられる、肝細胞表面にLDL受容体を発現しないnull/null型ホモ接合体の患者及びLDLアフェレシス療法を受けていた患者が含まれていた。これらが交絡因子となった可能性があることを受け、LDLアフェレシスの実施有無別及びLDL受容体遺伝子型別の部分集団におけるDay150のLDL-Cのベースラインからの変化率の事後解析を行い、評価資料の一部として提出した。
5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
〈効能共通〉
5.1 適用の前に十分な診察及び検査を実施し、家族性高コレステロール血症又は高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
5.3 家族性高コレステロール血症のうちホモ接合体については、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性について十分に理解した上で、本剤による治療の適否を慎重に判断すること。[17.1.5参照]