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糖尿病黄斑浮腫(DME)

本剤は国内外の第相試験の成績を基に評価され国内承認されました。以下で紹介する臨床試験成績には、承認範囲外の試験成績が一部含まれています(KESTREL:B2301試験)。

「禁忌を含む注意事項等情報」等はこちらをご参照ください。

日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験(KESTREL:B2301試験)
試験方法と患者背景および治療対象眼の主なベースライン特性

日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験
(KESTREL:B2301試験)9~13)

9)社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(B2301試験)[20220094]承認時評価資料
10)Brown DM, et al. Am J Ophthalmol 2022;238:157-172[20220091]
COI:本研究は、ノバルティスの資金により行われた。本論文の著者のうち5名はノバルティスの社員、7名はノバルティスの顧問、3名はノバルティスのアドバイザーである。
著者にはノバルティスより講演料/研究費/助成金を受領している者、ノバルティスの資金により行われた他の試験にも参加した医師が含まれる。
11)Wykoff CC, et al. Am J Ophthalmol 2023;in press DOI:https://doi.org/10.1016/j.ajo.2023.07.012
COI:本研究は、ノバルティスの資金により行われた。本論文の著者のうち4名はノバルティスの社員、7名はノバルティスの顧問、1名はノバルティスのアドバイザーである。
著者にはノバルティスより講演料/研究費/助成金を受領している者、ノバルティスの資金により行われた他の試験にも参加した医師が含まれる。
※100週時のデータは承認審査過程において当局に提出しており、社内では評価されたものと見なしている。
12)社内資料:国際共同第Ⅲ相試験[CSR CRTH258B2301(資料12.2.2)]
13)社内資料:国際共同第Ⅲ相試験[CSR CRTH258B2301(資料12.2.3)]

試験方法

目的

52週の最高矯正視力のベースラインからの変化量に関して、ベオビュ3mg/6mgのアフリベルセプト2mgに対する非劣性を検証する。

試験対象

18歳以上で治療対象眼※1が糖尿病黄斑浮腫による視力障害を有する患者566例(うち日本人患者は61例)

※1

  • ・最高矯正視力がETDRS(early treatment diabetic retinopathy study)可読文字数78~23文字、かつ糖尿病黄斑浮腫が黄斑中心部にまで及んでおり、中心窩網膜厚が320μm以上
  • ・HbA1c値が10%以下の1型または2型糖尿病を合併

試験デザイン

多施設共同二重遮蔽無作為化並行群間比較試験(検証試験)

投与方法

患者をベオビュ3mg群、ベオビュ6mg群、アフリベルセプト2mg群のいずれかに1:1:1の比で無作為化し、ベオビュまたはアフリベルセプトを硝子体内に投与した。ベオビュ3mgまたは6mgは6週ごと、アフリベルセプト2mgは4週ごとに5回導入投与した後、維持投与としてベオビュ3mgまたは6mgは12週ごと、アフリベルセプト2mgは8週ごとに投与した。ベオビュ3mgまたは6mgの投与は、規定来院日に遮蔽医師による疾患活動性評価を行い、疾患活動性が認められた場合は試験終了時まで8週間隔とした。

投与方法

※2 疾患活動性の評価基準
投与1年目の32週、36週及び48週に遮蔽医師が28週の疾患の状態を参考とし、「投与間隔を8週にする必要あり」または「投与間隔を8週にする必要なし」のいずれに該当するかを判断した

投与間隔を8週にする必要あり

VEGF阻害剤をより頻回に投与する必要があると遮蔽医師が判断する疾患活動性が特定された場合。例えば、糖尿病黄斑浮腫の疾患活動性に起因すると考えられる最高矯正視力スコアの(28週から)5文字以上の減少が認められた場合、解剖学的所見に基づく判断等。

投与間隔を8週にする必要なし

上記以外。

主要評価項目

最高矯正視力スコア※3のベースラインからの変化量(52週)

最も重要な副次評価項目

最高矯正視力スコア※3のベースラインからの平均変化量(40~52週)

重要な副次評価項目(ベオビュ群のみ)

  • 試験開始から12週間隔投与を維持した患者の割合(52週)
  • 導入期直後から12週間隔投与を維持した患者の割合(52週)

その他の副次評価項目

  • 最高矯正視力スコア※3のベースラインからの変化量(52週までの各評価時点、100週)
  • 最高矯正視力スコア※3のベースラインからの平均変化量(4~52週、20~52週、28~52週及び88~100週)
  • ベースラインからの最高矯正視力スコア※3の増加が15文字以上、または84文字以上の患者の割合(52週及び100週)
  • ベースラインからの最高矯正視力スコア※3の増加が15文字以上、または84文字以上の初回達成までの期間(52週まで)
  • ベースラインからの最高矯正視力スコア※3の減少が15文字以上の患者の割合(52週)
  • 試験開始から12週間隔投与を維持した患者の割合(100週)
  • 導入期直後から12週間隔投与を維持した患者の割合(100週)
  • 32週で疾患活動性を示した患者の割合(32週)
  • 中心窩網膜厚のベースラインからの変化量(各評価時点)
  • 中心窩網膜厚のベースラインからの平均変化量(40~52週)
  • 中心窩網膜厚が280μm未満の患者の割合(52週及び100週)
  • 網膜内滲出液(intraretinal fluid:IRF)または網膜下滲出液(subretinal fluid:SRF)が認められた患者の割合(52週、52週までの各評価時点、100週)
  • 血管漏出が認められた患者の割合(52週)
  • ETDRS糖尿病網膜症重症度がベースラインから2段階以上低下した患者の割合(28週、52週及び100週)
  • ETDRS糖尿病網膜症重症度がベースラインから3段階以上低下した患者の割合(28週、52週及び100週)
  • ETDRS糖尿病網膜症重症度がベースラインから2段階以上上昇した患者の割合(28週及び52週)
  • ETDRS糖尿病網膜症重症度がベースラインから3段階以上上昇した患者の割合(28週及び52週)
  • ETDRS糖尿病網膜症重症度スコア61以上の増殖糖尿病網膜症に進行した患者の割合(52週)
  • VFQ-25(Visual Function Questionnaire-25)の合計スコアのベースラインからの変化量(28週及び52週) など

※3 ETDRS文字スコア(ETDRS視力検査表を用いて測定開始距離4mで評価)

安全性評価項目

  • 治験薬の曝露状況
  • 有害事象(治療対象眼及び眼以外)
  • ベースライン時及び100週までの抗薬物抗体の状態 など

解析計画

KESTREL試験の100週での解析計画は、すべて記述的であり、52週時に既出の通りでした。

主要評価項目・最も重要な副次評価項目

解析対象集団

FAS(無作為化された患者のうち、治験薬が1回以上投与されたすべての患者)

解析方法

ベースラインの最高矯正視力区分(≦65文字、>65文字)、年齢区分(<65歳、≧65歳)、投与群を固定効果とした分散分析(ANOVA)を行い、投与群間差(ベオビュ3mgまたは6mg群-アフリベルセプト2mg群)の両側95%信頼区間の下限値が非劣性マージンの-4文字より大きい場合に、アフリベルセプト2mg群に対するベオビュ3mgまたは6mg群の非劣性が検証されることとした(有意水準は片側0.025)。
欠測値はLOCF(last observation carried forward)法を適用し、欠測直前の実測値で補完した。ベースライン後の測定値がない患者ではベースライン値を用いた。試験を早期に中止した患者では、LOCF法により試験中止直前の実測値で補完した。治験薬投与を中止した患者ではすべての実測値を利用し、治験薬投与中止後も試験を継続した患者では、治験薬以外の糖尿病黄斑浮腫治療へ切替え後のデータは打切りとみなし、LOCF法により他治療への切替え直前の実測値で補完した。

多重性の調整

事前に規定した階層的手法を適用し、主要評価項目、最も重要な副次評価項目の順にそれぞれベオビュ6mg群 vs. アフリベルセプト2mg群、ベオビュ3mg群 vs. アフリベルセプト2mg群の順に、先行する評価項目について非劣性が検証された場合に次の評価項目の非劣性を検証できることとした。

重要な副次評価項目

解析対象集団

FAS及びFASのうち導入期直後から12週間隔投与を維持したベオビュ群の患者

解析方法

52週に12週間隔で投与継続可能な患者の割合を、疾患活動性の評価に基づき8週間隔投与に移行するまでの期間を指標として、Kaplan-Meier法で推定した。
ベオビュの有効性または安全性の欠如に起因する治療または試験の早期中止、疾患活動性評価の欠測が生じた場合は、8週間隔投与へ切替えたものとして解析した。ベオビュの有効性または安全性の欠如以外の理由による治療または試験の早期中止、疾患活動性評価の欠測、併用禁止薬/療法の使用、疾患活動性評価に基づく投与方針と異なる投与がされた場合は、打切りとみなした。

その他の副次評価項目

解析対象集団

FAS

解析方法

欠測値はLOCF法を適用し、欠測直前の実測値で補完した。治験薬以外の糖尿病黄斑浮腫治療へ切替え後のデータは打切りとみなし、他治療への切替え直前の実測値で補完した。
各評価時点の最高矯正視力スコアのベースラインからの変化量、各評価時点の中心窩網膜厚のベースラインからの変化量、各評価期間の最高矯正視力スコアまたは中心窩網膜厚のベースラインからの平均変化量については、主要評価項目と同様にANOVAで解析した。
IRFまたはSRFの有無、ベースラインからの最高矯正視力スコアの増加が15文字以上、または84文字以上の患者の割合、ベースラインからの最高矯正視力スコアの減少が15文字以上の患者の割合、中心窩網膜厚が280μm未満の患者の割合、血管漏出が認められた患者の割合、ETDRS糖尿病網膜症重症度が低下あるいは上昇した患者の割合、ETDRS糖尿病網膜症重症度スコア61以上の増殖糖尿病網膜症に進行した患者の割合については、ベースライン、年齢区分(<65歳、≧65歳)、投与群を固定効果としたロジスティック回帰を用いて解析した。
疾患活動性を示した患者の割合については欠測値の補完を行わず、年齢区分(<65歳、≧65歳)、投与群を固定効果としたロジスティック回帰を用いて解析した。
VFQ-25の合計スコアのベースラインからの変化量については欠測値の補完を行わず、投与群を固定効果、対応するベースライン値を共変量とした共分散分析(ANCOVA)を実施した。

多重性の調整

主要評価項目及び最も重要な副次評価項目で4つの非劣性が検証された場合には、副次評価項目4項目(40~52週の中心窩網膜厚のベースラインからの平均変化量、52週のIRFまたはSRFが認められた患者の割合、4週の中心窩網膜厚のベースラインからの変化量、40~52週の最高矯正視力スコアのベースラインからの平均変化量の順)について、アフリベルセプト2mg群に対するベオビュ6mg群の優越性検定を実施することとした(有意水準は片側0.025)。

※ベオビュ3mg群の試験成績は承認された用法及び用量の範囲外のため、有効性に関する試験成績からは削除しました。

患者背景及び治療対象眼の主なベースライン特性

患者背景及び治療対象眼の主なベースライン特性

日本において承認されたベオビュの用法及び用量(抜粋)
〈糖尿病黄斑浮腫〉
ブロルシズマブ(遺伝子組換え)として6mg(0.05mL)を6週ごとに1回、通常、連続5回(導入期)硝子体内投与するが、症状により投与回数を適宜減じる。その後の維持期においては、通常、12週ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、8週以上あけること。
日本において承認されたベオビュの用法及び用量に関連する注意(抜粋)
〈効能共通〉

  • 7.1 臨床試験においては、両眼治療は行われていない。両眼に治療対象となる病変がある場合は、両眼同時治療の有益性と危険性を慎重に評価した上で本剤を投与すること。なお、初回治療における両眼同日投与は避け、片眼での安全性を十分に評価した上で対側眼の治療を行うこと。

〈糖尿病黄斑浮腫〉

  • 7.3 導入期における投与回数については、治療反応性に応じて5回未満とすることも考慮すること。また、維持期においては、定期的に疾患活動性を評価し、疾患活動性を示唆する所見が認められた場合は、投与間隔を8週とすること等を考慮すること。[電子添文17.1.3、17.1.4参照]