皮膚所見クイズ
症例報告 186 [主訴: 陰股部と上肢・躯幹の丘疹]
<症例> | 6ヵ月、男児 |
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<主訴> | 陰股部と上肢・躯幹の丘疹 |
<既往歴> | なし |
<家族歴> | 特記すべきことなし |
(症例提供) | 高松赤十字病院 皮膚科 部長 濱田 利久 先生 |
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(監修) | 高松赤十字病院 皮膚科 部長 濱田 利久 先生 |
解答と解説
診断名
- 丘疹状結核疹
鑑別診断
- ウイルス性発疹症、全身播種性BCG感染症、虫刺症
検査、原因、治療法
- 左上腕に49日前のBCG接種後の瘢痕と丘疹をみとめた。膿疱形成なし。躯幹部丘疹より皮膚生検を施行。真皮中心に密に炎症細胞浸潤をみとめ、中心部では好中球と核塵を混じ、その周囲では組織球とリンパ球様単核球の浸潤をみとめた。抗酸菌染色で菌要素をみとめなかった。以上よりBCG接種後の丘疹状結核疹と診断した。
- BCG後の皮膚の副反応は、接種の1-2か月後に発症し、ヒト型結核菌による結核疹と区別して、「丘疹状結核疹」と診断される。2005年4月以降、生後6カ月までにBCG接種されるようになり、その頻度が増したと報告されている。無治療で2-3か月以内には自然消退するので、ご両親には不安をいだかせないように十分な説明をおこなう。原発性免疫不全症候群など免疫不全児では、全身症状を伴って皮膚以外に肺や骨・骨髄に病変が拡大しうる(全身播種性BCG感染症)。この場合には抗結核治療を要する。自験例は全身症状がなく、基礎疾患もみとめず、病理組織学的に菌要素もみとめなかったことから、全身播種性BCG感染症を除外した。初診1か月後には無治療でほぼ消退した。