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症例報告 183 [主訴: 前胸部の紅色結節と萎縮性局面]

<症例> 48歳、女性
<主訴> 前胸部の紅色結節と萎縮性局面
<既往歴> 帝王切開術(腰椎麻酔)
<家族歴> 特記すべきことなし
(症例提供) 東京大学医学部附属病院皮膚科 講師 管 析 先生
(監修) 東京大学医学部附属病院皮膚科 准教授 浅野 善英 先生

解答と解説

診断名

  • 萎縮性隆起性皮膚線維肉腫

鑑別診断

  • 1. 限局性強皮症
    2. 深在性エリテマトーデス
    3. ケロイド

検査、原因、治療法

  • 診断のため局面より生検を施行。真皮から脂肪織にかけて紡錘形細胞が特定の配列を示さずに増殖していた(図2、3)。増殖している細胞はCD34陽性(図4)、S100陰性だった(図5)。組織学的所見と臨床所見から萎縮性隆起性皮膚線維肉腫と診断した。CTやMRIで筋や筋膜への浸潤、明らかなリンパ節腫脹や遠隔転移を認めなかった。病変から3cmのマージンをとり、筋膜レベルで切除した。隆起性皮膚線維腫に特徴的であるCOL1A1-PDGFB融合遺伝子が本症例でも検出された(図6)。萎縮性隆起性皮膚線維肉腫は、隆起性皮膚線維肉腫の組織学的なサブタイプの1つで、その2%未満を占める(Zelger BW, et al. Histopathology.1995;26:519-527.)。女性に多く(64%)、発症の平均年齢は29歳前後で、体幹(50-60%)に発症することが多い(Young CR, et al. J Am Acad Dermatol.2003;49:761-764.)。体幹の萎縮性局面を見たら、鑑別の1つに挙げて頂きたい。

    図2:HE染色(40倍)
    図2:HE染色(40倍)
    図3:HE染色(400倍)
    図3:HE染色(400倍)
    図4:CD34染色(40倍)
    図4:CD34染色(40倍)
    図5:S100染色(40倍)
    図5:S100染色(40倍)
    図6:遺伝子検査
    図6:遺伝子検査

 

 

皮膚科領域

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