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症例報告 182 [主訴: 下腿の紫紅色局面]

<症例> 81歳、男性
<主訴> 下腿の紫紅色局面
<既往歴> 高血圧、脂質異常症
<家族歴> 特記すべきことなし
(症例提供) 東京大学医学部附属病院皮膚科 講師 管 析 先生
(監修) 東京大学医学部附属病院皮膚科 准教授 浅野 善英 先生

解答と解説

診断名

  • Extranodal NK/T cell lymphoma, nasal type

鑑別診断

  • 1. リポイド類壊死症
    2. 環状肉芽腫
    3. 未分化大細胞リンパ腫

検査、原因、治療法

  • 診断のため局面より生検を施行。真皮から脂肪織にかけ密な細胞浸潤があり(図2)、浸潤している細胞は中型で、くびれた核を持つ異型リンパ球であった(図3)。異型リンパ球はCD3陽性、CD56陽性、EBウイルスの感染を調べるEBER-ISHも陽性であった(図4および5)。血液学的検査では血清中のLDH値は156 U/lと正常、可溶性IL-2受容体は584 U/lと軽度上昇していた。ATLAは陰性、抗EA-IgG、EBNA抗体は陽性であった。PET検査では右鼠径リンパ節に軽度集積がみられた。以上よりExtranodal NK/T cell lymphoma, nasal type (ENKL)、T1bN1M0と診断した。皮膚原発のENKLの全生存期間中央値は12ヶ月という報告もあり、しばしば急速に進行する予後不良の疾患である。そのため、早期診断、早期治療介入が望ましい。

    図2:HE染色(12.5倍)
    図2:HE染色 x40
    図3:HE染色(400倍)
    図3:HE染色 x400
    図4:CD56染色(400倍)
    図4:アルシアンブルー染色
    図5:EBER in situ hybridization染色(400倍)
    図4:アルシアンブルー染色

 

 

皮膚科領域

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