皮膚所見クイズ
症例報告 179 [主訴: 体幹、四肢に多発する紅斑]
<症例> | 80歳代、男性 |
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<主訴> | 体幹、四肢に多発する紅斑 |
<既往歴> | 多発性脳梗塞、間質性肺炎、アルツハイマー型認知症 |
<家族歴> | 特記すべきことなし |
(症例提供) | 琉球大学大学院医学研究科 皮膚科学講座 講師 山口 さやか 先生 |
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(監修) | 琉球大学大学院医学研究科 皮膚科学講座 教授 高橋 健造 先生 |
解答と解説
診断名
- ハンセン病
鑑別診断
- サルコイドーシス
皮膚リンパ腫
検査、原因、治療法
- ハンセン病は、抗酸菌の一種であるらい菌が、皮膚や末梢神経に感染し、長い経過を経て増殖し発症する。らい菌の感染力は非常に弱く、特殊環境下でのみ感染が成立する。ハンセン病の新規患者は、南アジアや東南アジアの発展途上国を中心に、今でも年間20万人を超えているが(出典:WHOデータより Number of new leprosy cases 2017)、最近は日本での発症は非常にまれで、そのほとんどは流行国出身の外国人である。
ハンセン病の診断には、知覚検査、病理組織検査、皮膚スメア検査などを行う。知覚検査は、つまようじやボールペンの先などを用いて、皮疹部の知覚障害を確認する。病理組織所見は、真皮層に肉芽腫を形成し、多菌型ハンセン病では泡沫状の組織球(図2)で、少菌型は類上皮細胞や巨細胞の組織球で構成される。多菌型は、病理組織でもスメア検査でも抗酸菌染色陽性の桿菌がみられる(図3)が、少菌型では菌を確認できないことも多く、その場合、らい菌の証明にPCR検査が有用である。