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症例報告 176 [主訴: 右下眼瞼部の紅色結節]

<症例> 8歳、女児
<主訴> 右下眼瞼部の紅色結節
<既往歴> 特記すべきことなし
<家族歴> 特記すべきことなし
(症例提供) 関東労災病院 皮膚科 部長 足立 真 先生
(監修) 関東労災病院 皮膚科 部長 足立 真 先生

解答と解説

診断名

  • 固定型スポロトリコーシス

鑑別診断

  • 頻度の多い疾患としては外眼部感染症として有名な散粒腫が鑑別に挙げられるが土壌との接触歴が重要である。

検査、原因、治療法

  • 診断のため眼瞼部の結節より皮膚生検と真菌培養を施行した。真皮内に形質細胞、リンパ球、類上皮細胞、および異物巨細胞を混じる密な炎症細胞浸潤を認め(図2)、同部位にファンギフローラ染色で蛍光を発する要素を認めた(図3)。


    図2 HE染色弱拡大像
    図2 HE染色弱拡大像
    図3 ファンギフローラY染色
    図3 ファンギフローラY染色
    サブローブドウ糖寒天培地で生検切片を培養したところ白色絨毛状のコロニーを形成し(図4)、スライドカルチャーでは菌糸側壁に単性、また末端に群生する楕円形から円形の分生子を認めた(図5)。以上より、分離菌をSporothrix schenckiiと同定し本症を固定型スポロトリコーシスと診断した。


    図4 巨大培養所見
    図4 巨大培養所見
    図5 スライドカルチャー所見
    図5 スライドカルチャー所見
    スポロトリコーシスは土壌中にいる真菌で農作業などで表皮の傷から真菌が侵入して生じる。成人例では上肢のリンパ管型スポロトリコーシスが多いが小児では眼の周囲の固定型スポロトリコーシスが多い。


 

 

皮膚科領域

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