皮膚所見クイズ
症例報告 173 [主訴: 両手、両足の多汗、皮疹]
<症例> | 16歳、男性 |
---|---|
<主訴> | 両手、両足の多汗、皮疹 |
<既往歴> | 特記すべきことなし |
<家族歴> | 父親、祖父も両手、両足の多汗、角化 |
(症例提供) | 産業医科大学 皮膚科学教室 教授 中村 元信 先生 |
---|---|
(監修) | 産業医科大学 皮膚科学教室 教授 中村 元信 先生 |
解答と解説
診断名
- 長島型掌蹠角化症
鑑別診断
- 1.Unna-Thost型掌蹠角化症
2.Vörner型掌蹠角化症
検査、原因、治療法
- 手掌、足底全体と指背、足背、アキレス肩部に過角化が観察された(図2-5)。
足底からの3mmパンチ皮膚生検では、角層および表皮の肥厚はあるが、顆粒変性は存在しなかった(図6)。遺伝子検査でケラチン1に変異はなかったが、SERPINB7にc.796C>Tホモ変異があり、長島型掌蹠角化症と診断した。
長島型掌蹠角化症はSERPINB7に変異のある常染色体劣性遺伝する疾患で、アキレス腱部、手背、足背にも過角化病変があり、多汗になるのが臨床的特徴である。根治治療はなく、悪性黒色腫の併発がないかなど長期的経過観察予定である。