皮膚所見クイズ
症例報告 172 [主訴: 左下眼瞼の腫瘤]
<症例> | 61歳、女性 |
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<主訴> | 左下眼瞼の腫瘤 |
<既往歴> | 特記すべきことなし |
<家族歴> | 特記すべきことなし |
(症例提供) | 産業医科大学 皮膚科学教室 教授 中村 元信 先生 |
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(監修) | 産業医科大学 皮膚科学教室 教授 中村 元信 先生 |
解答と解説
診断名
- 基底細胞癌
鑑別診断
- 1.スポロトリコーシス
2.サルコイドーシス
検査、原因、治療法
- ダーモスコピーで太さを変化させながら、蛇行状に走行する毛細血管拡張である樹枝状血管(arborizing vessels)が観察される(図2)。さらに、中央部には痂皮を伴う潰瘍が存在する。
腫瘍からの3mmパンチ皮膚生検では、真皮に基底細胞に類似した腫瘍細胞が増殖し、柵状配列があり、腫瘍胞巣と周囲結合組織の間に裂隙がある(図3)。
これらダーモスコピー所見と病理所見から基底細胞癌と診断し、入院の上、全切除を行う予定である。
基底細胞癌は胎生期上皮細胞が増殖する腫瘍である。日本人では黒色であることが多いが、本症例のように黒色でない症例も存在する。ダーモスコピーと生検が確定診断に重要であり、治療は全切除が基本的治療法である。