皮膚所見クイズ
症例報告 171 [主訴: 両下腿の皮疹]
<症例> | 4歳、女児 |
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<主訴> | 左足背の皮内結節 |
<既往歴> | 特記すべきことなし |
<家族歴> | 特記すべきことなし |
(症例提供) | 福島県立医科大学 皮膚科学講座 助手 石川 真郷 先生 |
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(監修) | 福島県立医科大学 皮膚科学講座 教授 山本 俊幸 先生 |
解答と解説
診断名
- 皮下型環状肉芽腫
鑑別診断
- 小児に生じた比較的長期の経過を有する皮内結節として、石灰化上皮腫や線維性組織球腫などが鑑別疾患として挙げられる。病理組織学的所見が鑑別に有用である。
検査、原因、治療法
- 診断のため結節中央より生検した。真皮中層から深層、脂肪織にかけて、組織球を主体としリンパ球を混じた炎症細胞がびまん性に浸潤していた。変性した膠原線維 を取り囲むように組織球が配列していたが、フィブリノイド壊死は明らかではなかった。アルシアンブルー染色とコロイド鉄染色で、変性した膠原線維 に一致したムチン沈着が見られた。生検後から結節は縮小し、無治療で経過観察のみ行っているが、再発なく経過している。
環状肉芽腫は典型的な環状型の他に、皮下型や結節型などの非典型的な臨床像を示すことがあり、診断には皮膚生検が必要である。変性した膠原線維 を取り囲むように浸潤する組織球が特徴的であり、変性した膠原線維 にはムチンが沈着する。成人例では糖尿病との合併が多いとされ、微小な外傷も原因として考えられている。皮下型は小児の四肢に好発し、生検後に自然消退する例が多い。