皮膚所見クイズ
症例報告 169 [主訴: 両下腿の皮疹]
<症例> | 80歳、女性 |
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<主訴> | 両下腿の皮疹 |
<既往歴> | 脂質異常症、白内障、慢性硬膜下血腫 |
<家族歴> | 特記すべきことなし |
(症例提供) | 福島県立医科大学 皮膚科学講座 講師 花見 由華 先生 |
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(監修) | 福島県立医科大学 皮膚科学講座 教授 山本 俊幸 先生 |
解答と解説
診断名
- サルコイドーシス
鑑別診断
- 皮膚病変からはリポイド類壊死、環状肉芽腫、環状弾性線維融解性巨細胞肉芽腫、異物肉芽腫、皮膚結核、非結核性抗酸菌感染症、真菌感染症、悪性リンパ腫、アミロイドーシス、ANCA関連血管炎が鑑別に挙げられる。
検査、原因、治療法
- 診断のため左下腿より生検した。
表皮は部分的に肥厚してみられ、真皮内には大小さまざまな類上皮細胞肉芽腫が散在性に認められ、多核巨細胞も散見された(図2)。肉芽腫周囲の炎症細胞浸潤は比較的軽度で(図3)、巨細胞内に星芒状体を認めた(図4)。
以上の病理組織所見と臨床所見よりサルコイドーシスと診断した。
合併症の精査を行ったところ、ホルター心電図で特に異常所見はなかった。胸部CTでは縦隔リンパ節が軽度腫大し、肺野に一部粒状影がみられ、サルコイドーシスの肺病変として矛盾しない所見であった。眼科は初診の6年前にぶどう膜炎を指摘され、サルコイドーシスも疑われたことがあったが、現在は白内障で通院中である。
血液検査では可溶性IL-2レセプター、ACE、血清Ca値は正常値であった。ツベルクリン反応は行っていない。
サルコイドーシスの特異疹は、結節型、局面型、びまん浸潤型、皮下型、苔癬様型、結節性紅斑様型、魚鱗癬様型、瘢痕浸潤など多彩であり、診断確定のためには皮膚生検が有用である。
治療は皮疹部にステロイド外用やODT療法、局注療法などが行われるが、自然軽快することも多い。