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症例報告 164 [主訴: 右肩および頭部の皮膚腫瘤]

<症例> 64歳、男性
<主訴> 右肩および頭部の皮膚腫瘤
<既往歴> 神経線維腫症1型(NF1)
<家族歴> 父と次男にNF1
(症例提供) 獨協医科大学 皮膚科 准教授 鈴木 利宏 先生
獨協医科大学 皮膚科 学内助教 金子 ゆき 先生
(監修) 獨協医科大学 皮膚科 教授 井川 健 先生

解答と解説

診断名

  • 悪性末梢神経鞘腫瘍(malignant peripheral nerve sheath tumor.MPNST)

鑑別診断

  • 神経線維腫
    有棘細胞癌
    神経鞘腫

検査、原因、治療法

  • MPNSTは以前はSchwann細胞由来の悪性神経鞘腫などと呼ばれていたが、Schwann細胞以外にも神経周膜細胞、神経内膜細胞、内皮細胞、神経外膜細胞などからも発生するため悪性末梢神経鞘腫瘍と呼ばれるようになった。NF1患者の2〜5%に発生し予後不良とされている。病理組織学的には、クロマチンに富む長円形の核を有する紡錘形の細胞が渦巻き状を呈して互いに交錯し、柵状配列(palisade)の形成がみられる。(図2、3)免疫染色ではS-100タンパクが半数以上で陽性となる。(図4)

    NF1患者では多数の神経線維腫が発生し、sizeが大きくなるものもあるため、同じ腫瘍だろうと思い受診が遅れるケースが多い。NF1症例では定期的な受診や、大きくなる腫瘤については注意してもらうなどの対策が必要と思われる。

    有棘細胞癌は症例数の多い皮膚癌で日光角化症や熱傷瘢痕などが母地となる。神経鞘腫が多発するのはNF2で、聴神経に神経鞘腫が発生する。

    今回の症例では3㎝マージンで切除し、術後放射線療法をおこなった。頭部のものは神経線維腫であった(図5)。


    図2

    図2

    図3

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    図4

    図4

    図5

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皮膚科領域

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