皮膚所見クイズ
症例報告 161 [主訴: 両前腕の褐色丘疹]
<症例> | 24歳、女性 |
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<主訴> | 両前腕の褐色丘疹 |
<既往歴> | 特記すべきことなし |
<家族歴> | 特記すべきことなし |
(症例提供) | 山形大学 医学部 皮膚科学講座 講師 紺野 隆之 先生 |
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(監修) | 山形大学 医学部 皮膚科学講座 教授 鈴木 民夫 先生 |
解答と解説
診断名
- acral persistent papular mucinosis
鑑別診断
- 尋常性疣贅、扁平疣贅、汗管腫、皮膚線維腫、光沢苔癬、アミロイド苔癬、他の病型の丘疹性ムチン沈着症
検査、原因、治療法
- 丘疹性ムチン沈着症の一亜型で、基礎疾患を伴わず、丘疹がある程度限局し、硬化局面を呈さないことを特徴とする。個疹の大きさは1~5㎜、色調は皮膚色、白色、褐色など様々で、表面平滑、扁平皿状、毛孔非一致性、弾性硬などと表現され、両側の手背~前腕にかけて分布する例が多い。皮膚生検を行い、HE染色で真皮内に限局した好塩基性の領域を認め(図2)、アルシアンブルー染色で青染するムチンの沈着を証明する(図3)。丘疹性ムチン沈着症の中で、丘疹が全身に拡大し硬化局面を呈し、基礎疾患を伴う病型のscleromyxedemaや、他の基礎疾患を伴うムチン沈着症との鑑別のため、甲状腺機能、耐糖能、肝機能、蛋白分画、免疫グロブリン、M蛋白、抗核抗体、補体価などの検査を行う。治療法は確立されたものはないが、自然消褪した例の報告も少数ながらみられる。