皮膚所見クイズ
症例報告 157 [主訴: 体幹・四肢に多発する痒みを伴う多発性紅色丘疹・小結節]
<症例> | 36歳、男性 |
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<主訴> | 体幹・四肢に多発する痒みを伴う多発性紅色丘疹・小結節 |
<既往歴> | 特記すべきことなし |
<家族歴> | 特記すべきことなし |
(症例提供) | 岐阜大学大学院皮膚病態学 講師 水谷 陽子 先生 |
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(監修) | 岐阜大学大学院皮膚病態学 教授 清島 真理子 先生 |
解答と解説
診断名
- リンパ腫様丘疹症 lymphomatoid papulosis
鑑別診断
- 結節性痒疹、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹(PLEVA)、acquired reactive perforating collagenosis、結節性類天疱瘡が挙げられる。病理所見からリンパ腫様丘疹症と診断するが、PLEVAとの鑑別が難しい症例もある。
検査、原因、治療法
- 病理所見(弱拡大像)
リンパ腫様丘疹症は、原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症に分類されており、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫と同一スペクトラムの疾患と考えられている。全身に多発する丘疹、小結節を形成し、自然消退と再発を繰り返す。多様な病理組織像を示し、Type A~Cに分類される。最も多いType Aでは、真皮内にCD30陽性の大型異型リンパ球が散在性もしくは集簇性に浸潤する。大型異型リンパ球は時にReed-Sternberg様の形態をとる。約60%の症例でT細胞受容体遺伝子再構成が認められる。本症例はType Aと考えられた。治療はステロイド外用や光線療法などが行われている。本症による生命予後への影響はほとんどないが、十数%の症例がリンパ腫に移行するため注意が必要である。自験例では血液検査・尿検査に異常なく、可溶性IL-2レセプターも正常範囲で、PET-CTでもリンパ節や臓器浸潤は認めなかった。Narrow band UVB療法を継続し、皮膚症状は小康状態である。