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症例報告 153 [主訴: 頭頂部、腹部、大陰唇の皮内結節]

<症例> 3か月、女児
<主訴> 頭頂部、腹部、大陰唇の皮内結節
<既往歴> 38週3日、正常分娩
<家族歴> 特記すべき事項なし
(症例提供) 社会福祉法人聖母会 聖母病院 皮膚科 部長 小林 里実 先生
国立成育医療研究センター 小児がんセンター 寺島 慶太 先生
(監修) 社会福祉法人聖母会 聖母病院 皮膚科 部長 小林 里実 先生

解答と解説

診断名

  • 神経芽腫の皮膚転移

鑑別診断

  • congenital self-healing reticulohistiocytosis, 血管腫, blueberry muffin lesion, 小児悪性腫瘍(横紋筋肉腫, ユーイング肉腫,神経芽腫,白血病,悪性黒色腫など)の皮膚転移

検査、原因、治療法

血液検査:白血球 5410 /µl, stab1.0 %, seg 16.0 %, lym 77.0 %, alb 4.4 g/dl, AST 91 U/l, ALT 29 U/l, LDH 654 U/l, CRP 0.1 mg/dl.超音波検査では真皮から皮下脂肪織の類円形で均質な低信号域を呈した(写真2)。初診翌日、大陰唇の結節を摘出生検し、small round cell sarcomaの所見であった(写真3,4)。胸腹部単純X線画像で骨盤腔におよぶ肝腫大を認め(写真5)、皮膚に多発する結節より、悪性軟部腫瘍の皮膚転移と考えた。初診より7日目、HMB45, PAS, Chromogran A, CD99, MIB-1など特殊染色の結果を待たずに小児がんセンターに連絡し、翌日入院した。右副腎を原発とする神経芽腫で、皮膚、肝臓のほか、脳実質、骨、骨髄、遠隔リンパ節に転移を認めるStage 4、International Neuroblastoma Pathology Classification (INPC)では、組織像はpoorly differentiated,favorable histology, MYCN遺伝子増幅なし,1歳未満で,中間リスク群と診断され、化学療法が開始された。入院直後、肝腫大による呼吸障害、脊柱管内腫瘍浸潤による下肢麻痺が出現したが、化学療法が奏効し、これらの症状、皮膚結節も消失した。小児がんは年間2000例以上の発生があり、神経芽腫は白血病、脳脊髄腫瘍に次いて約10%を占める。乳幼児では肝転移による肝腫大で呼吸困難となるoncology emergencyなど緊急を要する病態があり、すぐに専門施設へ紹介する。

写真2

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写真3

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写真4

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写真5

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皮膚科領域

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