皮膚所見クイズ
症例報告 151 [主訴: 四肢の紅斑、丘疹、膿疱]
<症例> | 33歳 女性 |
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<主訴> | 四肢の紅斑、丘疹、膿疱 |
<家族歴> | 特記すべき事項なし |
<既往歴> | 喘息 |
(症例提供) | 社会福祉法人 聖母会聖母病院皮膚科 木村 景子 先生 |
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(監修) | 社会福祉法人 聖母会聖母病院皮膚科 部長 小林 里実 先生 |
解答と解説
A1.診断名
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫
A2.鑑別診断
- 顕微鏡的多発血管炎、高γグロブリン血症に伴う血管炎、膠原病に伴うANCA関連血管炎、持久性隆起性紅斑
A3.検査、原因、治療
紫斑(写真2)より生検し、leukocytoclastic vasculitis(写真3)を認めた。血管外肉芽腫はなく、血管外の好酸球浸潤はごく軽度であった。抗MPO-ANCA抗体が31.1と陽性。尿蛋白1+。喘息の先行、好酸球増多、好酸球性副鼻腔炎(写真4)に続いて紫斑を認め、病理所見も矛盾しないことから、好酸球性多発血管炎性肉芽腫と診断した。入院安静の上、ステロイド投与にて副鼻腔炎、皮疹ともに軽快、漸減中である。好酸球性多発血管炎性肉芽腫における皮膚血管炎の病理所見は、好酸球主体の内臓病変と異なり、好中球主体のleukocytoclastic vasculitisから好酸球性血管炎、両者の中間型まで多彩であり、ANCA陽性例ではしばしば好中球主体となる。自験例は皮膚血管炎が出現するまでに13年を経過していた。
図4