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症例報告 146 [主訴: 両下腿の有痛性皮疹]

<症例> 60歳、男性
<主訴> 両下腿の有痛性皮疹
<家族歴> 特記事項なし
<既往歴> 多発性腎嚢胞(腹膜透析導入)
(症例提供) 埼玉医科大学皮膚科学教室 助教 宮野 恭平 先生
(監修) 埼玉医科大学皮膚科学教室 教授 土田 哲也 先生

解答と解説

A1.診断名

  • 皮下結節性脂肪壊死

A2.鑑別診断

  • 結節性紅斑、皮膚型結節性多発動脈炎

A3.検査、原因、治療

病理組織所見では、小葉中心性脂肪織炎を呈し、一部に脂肪壊死を伴っており(写真2)、壊死した脂肪細胞は核が消失し好酸性の肥厚した隔壁有する、いわゆるghost-like cellを呈している(写真3)。本症例は腹痛がなく、またCT上膵炎を示唆する所見がなかったことから、消化管内視鏡治療が誘因と考えられた皮下結節性脂肪壊死と診断した。自験例は2週間程度で消退した。
皮下結節性脂肪壊死は、下肢に好発する有痛性皮下硬結としてみられる。結節性紅斑と近い臨床像をとるが、境界明瞭で、腫脹および熱感が強いとされる。
原因として、膵炎、原発性および転移性膵癌、外傷性膵仮性嚢胞、内視鏡治療・検査後に合併する。一般に、膵酵素(尿および血中アミラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼA2、トリプシン)の上昇がみられるとされるが、膵酵素が上昇しない症例や、膵酵素の変動と皮疹の程度が一致しない例も報告されている。
膵炎例では発症後に本症が出現しやすく、また膵癌例では本症出現後に膵癌症状が出現しやすいことが報告されており、合併する膵疾患に合わせた対応が必要となる。

写真2

写真2

写真3

写真3

皮膚科領域

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