皮膚所見クイズ
症例報告 139 [主訴:左上腕の皮角様変化を伴う結節性病変]
<症例> | 16歳、男性 |
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<主訴> | 左上腕の皮角様変化を伴う結節性病変 |
<家族歴> | 特記すべきことなし |
<既往歴> | 特記すべきことなし |
(症例提供) | 奈良県立医科大学 皮膚科学教室 助教 小川 浩平 先生 |
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(監修) | 奈良県立医科大学 皮膚科学教室 教授 浅田 秀夫 先生 |
解答と解説
A1.診断名
Perforating pilomatricoma
A2.鑑別診断
- Verruca vulgaris
- Keratoacanthoma
- Squamous cell carcinoma
A3.検査、原因、治療
病理組織学的所見:弱拡大像を図2に示す。隆起部が切除時に脱落し、皮角様領域(図2左側)と底部の皮膚領域(図2右側)に分離した。図3は臨床と対比した病理組織のイメージ図である。
真皮内の病変は毛母細胞様の好塩基性細胞(図4)と好酸性の陰影細胞(図5)から構成されていた。皮角様領域は好酸性の陰影細胞とその変性物が主体で、移行像も観察された(図6)。
Perforating pilomatricomaは病理組織学的にTransepithelial eliminationを認める事が特徴であり、 通常の毛母腫より浅い部位に生じる傾向がある。若年者に皮角様外観を伴う病変を認めた時は、まれではあるが毛母腫も鑑別疾患として挙がる。