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症例報告 136 [主訴:陰嚢の結節]

<症例> 83歳、男性
<主訴> 陰嚢の結節
<家族歴> 特記すべきことなし
<既往歴> 認知症
(症例提供) 福井大学医学部 皮膚科学講座 助教 飯野 志郎 先生
(監修) 福井大学医学部 皮膚科学講座 教授 長谷川 稔 先生

解答と解説

A1.診断名

疣贅状黄色腫

A2.鑑別診断

臨床的に軟線維腫、血管拡張性肉芽腫、疣贅癌などとの鑑別が問題になる。臨床やダーモスコピーで診断に迷うときには生検を行う。

A3.検査、原因、治療

高齢者の男性に多く発症し、部位別では陰部と口腔内に発生した報告が、そのほとんどを占める。
臨床的には、無症候性の紅色結節または腫瘤で、表面は顆粒状になっている。
ダーモスコピー所見として、表面が乳頭腫状に凹凸をしめす、exophytic papillary structuresがみられる。乳頭腫状に増殖した各々の結節には、dot状の血管拡張と、黄色くhomogenousな色調の部分が観察される。(図2)黄色い部分は病理組織学的な泡沫細胞の浸潤(後述)を反映している。
病理組織学的に、角層は肥厚し、腫瘍の中心に向かって表皮突起の著明な延長がみられる。真皮乳頭層は延長した表皮突起の間に入り込むように延長し、真皮には血管の著明な拡張と増生がある。(図3)真皮乳頭部に異型性のない泡沫細胞の浸潤がみられることが、他疾患との鑑別において重要になる。(図4)
疣贅状黄色腫の明らかな病因は不明であるが、外的刺激が発生に関与している可能性があるとする報告が多い。
これまでHPVとの関連も検討されてきたが、現在では真の病因ではないとする考えが一般的であり、この症例でもHPVは検出されなかった。
治療は外科的切除を行う。

図2

症例写真:図2

図3

症例写真:図3

図4

症例写真:図3

皮膚科領域

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