特徴
監修:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体機能再生・再建学講座 整形外科学 教授 尾﨑 敏文 先生
多岐にわたる組織型
悪性軟部腫瘍は、発生頻度がまれであるものの、組織型が多岐にわたる。全国骨・軟部腫瘍登録一覧表では、脂肪肉腫の発生頻度が最も高く、悪性線維性組織球腫※、平滑筋肉腫、滑膜肉腫が続いている1)。
※:2002年のWHO分類から、悪性線維性組織球腫(MFH)は未分化多形肉腫(UPS)/MFHと粘液線維肉腫に分類された。さらに2013年のWHO分類から、UPS/MFHは未分化/分類不能肉腫(undifferentiated/unclassified sarcoma)の中のundifferentiated pleomorphic sarcomasに相当する。
肺転移が多く、遠隔転移は予後不良因子
悪性軟部腫瘍の大多数は発生原因が不明だが、まれに転移性や放射線照射などの治療、慢性リンパ浮腫などの先行する病態に続発するものが認められる。また、一部の悪性軟部腫瘍には遺伝性が認められている2)。
悪性軟部腫瘍は血行性遠隔転移、特に肺転移が多い。一方、リンパ節転移は癌腫に比し、比較的少ない。なお、すべての組織型において、遠隔転移やリンパ節転移は予後不良因子である2)。
1)日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍委員会/国立がん研究センター(編).:全国軟部腫瘍登録一覧表 (2012)
2)日本整形外科学会診療ガイドライン委員会/軟部腫瘍診療ガイドライン策定委員会(編).:軟部腫瘍診療ガイドライン 2012.南江堂 (2012)
3)Ries LAG, Young JL, Keel GE, Eisner MP, Lin YD, Horner M-J (editors). SEER Survival Monograph: Cancer Survival Among Adults: U.S. SEER Program, 1988-2001, Patient and Tumor Characteristics. National Cancer Institute, SEER Program, NIH Pub. No. 07-6215, Bethesda, MD, 89-92 (2007)
4)Edge S, Byrd DR, Compton CC, Fritz AG, Greene FL, Trotti A (editors). AJCC Cancer Staging Manual, 7th ed, Springer, 291-298 (2009)