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臨床成績〔ASCLEPIOS I・II試験 試験概要〕
海外第III相検証試験 (ASCLEPIOS I試験・ASCLEPIOS II試験)海外データ
本試験は、本邦未承認薬のteriflunomide(以降、テリフルノミド)を対照薬として用いた海外第III相検証試験ではありますが、承認時評価資料のため紹介いたします。本剤は、日本人患者を含む国際共同第II相試験の結果から、海外第III相検証試験の結果を基に承認されたため、日本人患者を対象とした第III相試験は実施されておりません。
海外第III相検証試験は、ASCLEPIOS I試験(G2301試験)およびASCLEPIOS II試験(G2302試験)の2試験で構成されています。
(両試験は、試験デザイン、選択・除外基準、用法・用量すべてが同じであり、同時期に実施され、治験実施医療施設および医師はいずれか一方の試験にのみ参加できることとしています)
社内資料:海外第III相試験(G2301試験)[承認時評価資料] 社内資料:海外第III相試験(G2302試験)[承認時評価資料]
目的
再発を伴う多発性硬化症患者を対象に、年間再発率(確定再発の頻度)を指標として、ケシンプタ(20mgを4週毎皮下投与)のテリフルノミド(14mgを1日1回経口投与:本邦未承認薬)に対する優越性を検証する。
方法
第III相、多施設共同、ランダム化、二重盲検、ダブルダミー、実薬対照、並行群間比較、event-driven試験。
スクリーニング期の評価で適格と判断された被験者は、二重盲検投与期の1日目に、ケシンプタ群またはテリフルノミド群に1:1の比でランダム化された。二重盲検投与期において、ケシンプタ群では、ケシンプタ20mgを初回(1日目)、1週後、2週後、4週後、以降は4週毎に皮下投与した。テリフルノミド群では、テリフルノミド14mgを1日目から1日1回経口投与した。ただし、本試験で使用した皮下投与製剤は、安全装置付きのプレフィルドシリンジ製剤注)である。
注)ケシンプタ®皮下注20mgペンは、プレフィルドシリンジを組み込んだオートインジェクター製剤である。
評価項目
◎主要評価項目:年間再発率
◎主要な副次評価項目:
EDSSに基づく3ヵ月持続する障害増悪(3mCDW)が認められるまでの期間、EDSSに基づく6ヵ月持続する障害増悪(6mCDW)が認められるまでの期間、EDSSに基づく6ヵ月持続する障害改善(6mCDI)が認められるまでの期間、1スキャンあたりのGd造影T1病変数、年間の新規または拡大T2病変数、血清ニューロフィラメントL鎖(NfL)濃度、脳容積のベースラインからの年間変化率
◎その他の副次評価項目:初回再発までの期間 など
◎安全性評価項目:有害事象、臨床検査、心電図、バイタルサイン、免疫原性
解析計画
有効性の主要な解析対象集団は最大の解析対象集団(FAS)とし、ランダム化されたすべての被験者とした。安全性解析対象集団は、治験薬を1回以上投与されたすべての被験者とした。
◎多重性の調整
主要評価項目および主要な副次評価項目の仮説検定は、第一種の過誤を個々の試験レベルおよび同一デザインの試験(ASCLEPIOS I試験およびASCLEPIOS II試験)を合わせたレベルで管理するために、下図に示す階層的な順序で実施した。
各試験では、主要評価項目の帰無仮説が棄却された場合、MRIおよびNfL関連の仮説は、進行中の仮説が有意水準0.05(両側)ですべて棄却される限り、各試験内で逐次的な順序で検証した。障害進行/改善に関する評価項目の仮説は、両試験ともに主要評価項目の帰無仮説が棄却された場合に、両試験を併合した海外第III相併合データを用いて有意水準0.04875(両側)で検証した。
◎主要評価項目:年間再発率
ケシンプタ群のテリフルノミド群に対する優越性を、帰無仮説「年間再発率に基づき評価した確定再発の頻度の抑制効果が投与群間で差がない」に対する対立仮説「投与群間で差がある」を設定して検証した。対数リンク関数を使用し、投与群、地域を要因、ベースラインの過去1年間の再発回数、ベースラインのEDSS、ベースラインのGd造影T1病変数、ベースラインの年齢を共変量、被験者毎の確定再発の累積数を反応変数、被験者毎の試験期間(年)の自然対数をオフセット変数とした、負の二項回帰モデルを用いて解析した。
なお、患者背景〔年齢、性別、体重、地域、多発性硬化症(MS)病型、ベースラインのEDSS、過去2年間の再発回数、ベースラインのGd造影T1病変数、ベースラインのT2病変容積、疾患修飾薬(DMD)の前治療歴〕別に評価したサブグループ解析は事前に計画されていたものであり、被験者数の確保のため、両試験を併合した海外第III相併合データを用いて解析した。対数リンク関数を使用し、試験、投与群、検討対象の部分集団、部分集団と投与群の交互作用を共変量、被験者毎の試験期間(年)の自然対数をオフセット変数とした負の二項回帰モデルを用いて解析するとともに、部分集団と投与群の交互作用を伴う拡張モデルをデータに適合させ、試験間の相違を部分集団毎の投与群の交互作用のtype-3 testを用いて検定し、p値を算出した。
◎主要な副次評価項目
・障害進行に関する主要な副次評価項目
EDSSに基づく障害進行に関する主要な副次評価項目については、評価に必要な被験者数を確保するため、治験実施計画書で事前に規定した通り、海外第III相併合データを用いて解析した。ケシンプタ群のテリフルノミド群に対する優越性を、帰無仮説「障害増悪が認められるまでの期間が投与群間で差がない」に対する対立仮説「投与群間で差がある」を設定して検証した。試験を層、投与群、地域を要因、ベースラインのEDSSを連続共変量とした、層別Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。
・1スキャンあたりのGd造影T1病変数
ケシンプタ群のテリフルノミド群に対する優越性を、帰無仮説「Gd造影T1病変数が投与群間で差がない」に対する対立仮説「投与群間で差がある」を設定して検証した。投与群、地域を要因、年齢、ベースラインのGd造影T1病変数を連続共変量、Gd造影T1病変の累積数を反応変数、MRIスキャン回数の自然対数をオフセット変数とした、負の二項回帰モデルを用いて解析した。
・年間の新規または拡大T2病変数
ケシンプタ群のテリフルノミド群に対する優越性を、帰無仮説「年間の新規または拡大T2病変数が投与群間で差がない」に対する対立仮説「投与群間で差がある」を設定して検証した。投与群、地域を要因、年齢、ベースラインの新規または拡大T2病変数を連続共変量、前回のMRIスキャンの新規または拡大T2病変数を反応変数、ベースラインから当該MRI評価までの期間(年)の自然対数をオフセット変数とした、負の二項回帰モデルを用いて解析した。
◎安全性評価項目
海外第III相検証試験(ASCLEPIOS I試験およびASCLEPIOS II試験)は、同時期に実施された同一デザインの検証試験であり、被験者の組入れ基準および目標被験者数も同一で、人口統計学的特性、曝露期間、安全性の結果も類似していた。ケシンプタの安全性を評価する上で、試験毎では傾向が評価しにくい安全性プロファイル、特に発現率が低いものの重要な有害事象を包括的に評価するために、これら2試験の安全性データを併合し、海外第III相併合データで評価した。
また、ケシンプタ投与に関連する安全性の問題やリスクを検討すべく、ケシンプタおよびその類薬で懸念されるリスクに該当する事象(注射に関連する反応、感染症、良性・悪性・詳細不明の新生物)を「注目すべき有害事象」と定義して、海外第III相併合データで評価した。
患者背景(FAS)
ASCLEPIOS I試験およびASCLEPIOS II試験の対象患者となった再発を伴うMS患者の患者背景は下表の通りであり、DMD前治療歴なしの未治療患者が約4割含まれていました。
例数(%)または 平均値±標準偏差
※1:n=473 ※2:n=480 ※3:n=461 ※4:n=473 ※5:n=457 ※6:n=461 ※7:n=473 ※8:n=473
§: | ベースラインのEDSS(治験薬初回投与前の直近のEDSS)を提示した。 |
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ベースラインのEDSSは、組入れ基準(EDSS:0~5.5)の評価に用いたスクリーニング時のEDSSを上回ることがあった。 |
社内資料:海外第III相試験(G2301試験)[承認時評価資料] 社内資料:海外第III相試験(G2302試験)[承認時評価資料]