「禁忌を含む注意事項等情報」等はこちらをご参照ください。
一部承認外の成績が含まれるデータですが、承認時の評価資料であり、効能又は効果の根拠、用法及び用量の根拠として重要であるためご紹介します。
小児慢性心不全患者におけるエンレストの用量探索試験及び52週投与時のエナラプリルに対する優越性検証試験(国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験:B2319試験)
副次評価項目 Global rank endpointのCategory 1又は2のイベントの初回発現までの時間※1、2(FAS)
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調整ハザード比及びp値は、固定効果因子として治療(投与群[エンレスト群、エナラプリル群])を含めた修正年齢グループ及びNYHA/Ross機能分類で層別化したCox比例ハザードモデルに基づく。USMの影響を受けた被験者については治療中の評価を解析に用いた。投与中止はイベントとして扱わなかった。
*:名目上のp値
a)両側有意水準5%
b)少なくとも1つの事象を有する被験者の数及び%
c)曝露期間で調整した発現率=少なくとも1つのイベントを有する被験者の数/イベント発現又は打ち切りまでの時間の合計
※1:イベントの重症度にかかわらず最初に発現したイベントまでの時間 ※2:独立判定によるイベントに基づく。
FAS:最大の解析対象集団、NYHA:ニューヨーク心臓協会、EAIR:曝露期間で調整した発現率、CI:信頼区間、USM:緊急安全対策
社内資料:小児慢性心不全患者におけるエンレストの用量探索試験及び52週投与時のエナラプリルに対する優越性検証試験
(国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験、B2319試験、CTD2.7.3.3.2.2)[承認時評価資料]
Global rank endpointについてはこちらをご参照ください
副次評価項目 52週時のNYHA/Ross機能分類のベースラインからの変化(FAS)
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各評価時点の%は、その時点で評価が行われた被験者総数に対する割合。
各来院時におけるNYHA機能分類の変化(改善<不変<悪化)を応答変数とし、ランダム化時の修正年齢グループ、投与群及びベースライン値を固定効果とした比例累積オッズモデルに基づく。
治験担当医師報告又は独立判定によるCategory 1のイベントを有する被験者で、初回のイベント発現後のNYHA/Ross機能分類スコアが欠測している場合は「最も悪い状態」とした。
USMの影響を受けた被験者について治療中の評価も含めた。
*:名目上のp値 a)両側有意水準5%
FAS:最大の解析対象集団、 CI:信頼区間、NYHA:ニューヨーク心臓協会、USM:緊急安全対策
社内資料:小児慢性心不全患者におけるエンレストの用量探索試験及び52週投与時のエナラプリルに対する優越性検証試験
(国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験、B2319試験、CTD2.7.3.3.2.2)[承認時評価資料]
NYHA/Ross機能分類についてはこちらをご参照ください
副次評価項目 52週時のPGISのベースラインからの変化(FAS)
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各評価時点の%は、その時点で評価が行われた被験者総数に対する割合。
各来院時におけるPGISの変化(改善<不変<悪化)を応答変数とし、ランダム化時の修正年齢グループ、投与群及びベースライン値を固定効果とした比例累積オッズモデルに基づく。
治験担当医師報告又は独立判定によるCategory 1のイベントを有する被験者で、初回のイベント発現後のPGISスコアが欠測している場合は「最も悪い状態」とした。
USMの影響を受けた被験者について治療中の評価も含めた。
*:名目上のp値 a)両側有意水準5%
FAS:最大の解析対象集団、PGIS:Patient Global Impression of Severity、CI:信頼区間、USM:緊急安全対策
社内資料:小児慢性心不全患者におけるエンレストの用量探索試験及び52週投与時のエナラプリルに対する優越性検証試験
(国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験、B2319試験、CTD2.7.3.3.2.2)[承認時評価資料]
PGISについてはこちらをご参照ください
安全性(SAF)
※1:心不全12.8%(24例)、肺炎及び嘔吐各2.7%(5例)、うっ血性心不全及び低血圧、発熱、上気道感染各2.1%(4例)等
※2:心不全12.2%(23例)、肺炎及び嘔吐、心停止、急性心不全、痙攣発作各2.1%(4例)等
※3:心不全3.7%(7例)、うっ血性心不全及び心停止各1.1%(2例)等
※4:心不全5.9%(11例)等
※5:エンドポイント判定委員会による独立判定に基づき心血管死と判断された割合は3.7%(7/187例)。
心血管死の内訳は、うっ血性心不全3例、心原性ショック2例、最後に生存が確認されて1時間未満の突然死及び最後に生存が確認されて1時間以上24時間未満の突然死各1例。非心血管死は0.5%(1/187例)であり、悪性腫瘍であった。
※6:エンドポイント判定委員会による独立判定に基づき心血管死と判断された割合は5.9%(11/188例)。
心血管死の内訳は、心原性ショック4例、最後に生存が確認されて1時間未満の突然死3例、推定心血管死2例、うっ血性心不全及び最後に生存が確認されて1時間以上24時間未満の突然死各1例。非心血管死は0.5%(1/188例)であり、呼吸不全であった。
社内資料:小児慢性心不全患者におけるエンレストの用量探索試験及び52週投与時のエナラプリルに対する優越性検証試験
(国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験、B2319試験、CTD2.7.4.2.1)[承認時評価資料]
試験概要
目 的 | 第1期:小児慢性心不全患者におけるエンレストの薬物動態(PK)及び薬力学(PD)を明らかにする。 第2期:小児慢性心不全患者を対象にGlobal rank endpointを指標として、心不全の治療薬としてのエンレストのエナラプリルに対する優越性を検討する。 |
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対 象 | 生後1ヵ月~18歳未満のLVSDによる小児慢性心不全患者(RAN※1377例、FAS※2及びSAF※2ともに375例[日本人12例]) ※1:ランダム化番号が割り当てられたすべての被験者(治験薬投与の有無は問わない) ※2:ランダム化されたすべての被験者(誤ってランダム化され治験薬が投与されなかった2名を除く) <主な選択基準>
<主な除外基準>
RAN:Randomized set、FAS:最大の解析対象集団、SAF:安全性解析対象集団、NYHA:ニューヨーク心臓協会、 LVEF:左室駆出率、ACE:アンジオテンシン変換酵素、ARB:アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、PK:薬物動態、PD:薬力学、UNOS:全米臓器配分ネットワーク、ADME:Absorption, Distribution, Metabolism, Excretion |
試験デザイン | 多施設共同、ランダム化、二重盲検、並行群間、実薬対照比較試験 |
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方 法 |
本試験は第1期(最大2回の単回投与)及び第2期(52週間)の2期で構成された。 NYHA:ニューヨーク心臓協会 |
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副次評価項目 |
NYHA:ニューヨーク心臓協会、PGIS:Patient Global Impression of Severity |
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解 析 計 画 |
有効性評価項目はFASを主要な解析対象集団とした。なお、副次評価項目の統計学的検定は両側有意水準5%で行い、多重性の調整は行わなかった。各評価項目について、日本人集団のみを対象としたサブグループ解析も実施した(事前規定)。 FAS:最大の解析対象集団、NYHA:ニューヨーク心臓協会、PGIS:Patient Global Impression of Severity |
Global rank endpoint
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※1:心不全の悪化は、心不全に対する治療の強化が必要になる新たな症状・徴候あるいは既にみられていた症状・徴候の悪化を示し、特定の症状・徴候を定義するものではない。
※2:心不全の悪化に対する治療には利尿薬、血管拡張薬、昇圧薬、循環作動薬の静脈内投与、機器的補助又は循環補助の施術(限外濾過、血液透析、VAD、ECMO、大動脈内バルーンポンプなど)が含まれる。経口薬の場合は、利尿薬の新規投与又は維持量の50%以上の増量が2週間以上継続する場合に該当する。
NYHA:ニューヨーク心臓協会、PGIS:Patient Global Impression of Severity、 PedsQL:Pediatric Quality of Life Inventory、ICU:集中治療室
NYHA/Ross機能分類
心不全患者の心機能を評価する信頼性の高い評価方法で1-4)、NYHA心機能分類は一般臨床で心不全の重症度分類に用いられるのに対し、Ross機能分類は乳幼児の心不全の重症度分類として用いられる。国際心肺移植学会の小児心不全ガイドライン(2014年)では、NYHA心機能分類及びRoss機能分類ともに心不全の重症度分類として記載されている5)。各クラス分類(I度~IV度)は重症度が大きく異なることから、1クラスの変化は臨床的に意味のある変化を示す2、6)。本試験での評価にあたり、ランダム化時の年齢が6歳以上ではNYHA心機能分類を、6歳未満ではRoss機能分類を用いた。
NYHA:ニューヨーク心臓協会
1)Functional capacity and objective assessment. In: Dolgin M, et al(eds). Nomenclature and criteria for diagnosis of diseases of the heart and great vessels, 9th edition. Boston:
Little, Brown&Co, p.253-255. 1994
2)Ross RD, et al.: Pediatr Cardiol. 1992; 13(2):72-75.
3)Packer M.: J Card Fail. 2001;7(2): 176-182.
4)Rosenthal D, et al.: J Heart Lung Transplant. 2004; 23(12): 1313-1333.
5)Kirk R, et al.: J Heart Lung Transplant. 2014; 33(9): 888-909.
6)Madsen BK, et al.: Eur Heart J. 1994; 15(3): 303-310.
PGIS
心不全症状の重症度に関する全般的印象を問う患者報告アウトカムで、被験者の現在の健康状態(直近7日間)を把握するために5段階(なし/軽度/中等度/重度/極めて重度)で評価する。PGISの1ポイントの変化は、臨床的に意味のある変化を示す。
PGIS:Patient Global Impression of Severity
社内資料:小児慢性心不全患者におけるエンレストの用量探索試験及び52週投与時のエナラプリルに対する優越性検証試験
(国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験、B2319試験、CTD2.7.6.4.1.1)[承認時評価資料]
社内資料:小児慢性心不全患者におけるエンレストの用量探索試験及び52週投与時のエナラプリルに対する優越性検証試験
(国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験、B2319試験、CTD2.7.3.1.3.2)[承認時評価資料]
社内資料:小児慢性心不全患者におけるエンレストの用量探索試験及び52週投与時のエナラプリルに対する優越性検証試験
(国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験、B2319試験、CTD2.7.3.1.3.3)[承認時評価資料]
Shaddy R, et al.: Circ Heart Fail. 2023; 16(3): e009816.
主要評価項目の結果
Global rank endpointのMann-Whitney確率推定値(95%CI)は0.5244(0.4665、0.5817)であり統計学的な有意差は認められず、優越性は検証されなかった(両側p=0.4238、層別Wilcoxon順位和検定)。
【5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)】
〈小児の慢性心不全〉
5.3 本剤投与開始前にアンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を投与されている場合はそれらの薬剤から切り替え、投与されていない場合は患者の状態を観察しながら本剤を慎重に投与すること。[2.2、8.1、17.1.3参照]
5.4 小児の慢性心不全の治療に十分な知識及び経験を有し、「臨床成績」の項の内容及び臨床試験に組み入れられた患者の背景(基礎疾患や心不全の病態、前治療、収縮期血圧等)を十分に理解した医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者に対して適用を考慮すること。[17.1.3参照]
【6. 用法及び用量(抜粋)】
〈慢性心不全〉
通常、1歳以上の小児には、サクビトリルバルサルタンとして下表のとおり体重に応じた開始用量を1日2回経口投与する。忍容性が認められる場合は、2~4週間の間隔で段階的に目標用量まで増量する。なお、忍容性に応じて適宜減量する。
小児における用量表(1回投与量)
【9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)】9.7 小児等
〈慢性心不全〉
9.7.1 低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。[17.1.3参照]